皇居東御苑を少し散歩

朝から「ジャングル大帝」の解説原稿にかかる。
大きな柱は、まずレオの居場所探し。レオはジャングルでも文明社会でもないニュートラルな場所=海上で生まれて、文明社会で人間の言葉や習慣を学んだ後ジャングルに帰る。果たして自分はどちらに属するのか、で煩悶するのはアトムと同じである。これは戦後日本人がおかれた状況、つまり明治維新後は東洋の国でありながら欧米列強の一角に加わろうとし、その欧米と「大和魂」なるものを以て戦い、敗れた後は再びアメリカへ傾倒し、日本らしさを自ら脱ぎ捨て、現在に至るまで「日本人の自分探し」を続けていることに繋がる。これは新書の『そうだったのか手塚治虫』にも書いたとおり。
もうひとつの柱は、自己犠牲である。最終回でレオは、自らの身を肉として毛皮としてヒゲオヤジに与えることで、ヒゲオヤジを救い、月光石の謎を人類に伝えようとする。これは、『ブッダ』や短編の「荒野の七匹」に繋がるものがある。手塚には、人はお互いに何かを犠牲にしてわかち与えることで存在価値を持ちうる、という人生観があった、と考えられるのだ。
3つめは謎解き。手塚のストーリーづくりの中で、実は「謎解き」が大きな要因を占めている。これは、『ブラック・ジャック ザ・ミステリー』のあとがきにも書いたとおり。この3つをどう構成するのか。ちょっと迷うのであった。
昼は「めんや」。食後、久しぶりに皇居東御苑の雑木林まで歩いてみた。頭の整理がつかないときには、外に出るのが一番。





▲十月桜