秋の日はつるべ落とし

だいたい夕方の6時前後になるとこのブログを書いている。以前のブログは業務日誌のつもりで書いていたので、その頃の名残である。ちょっと前まで、この時間はまだ外も明るかったのに、もう薄暮である。そう言えば、「秋の日は笑福亭鶴瓶」としょうもないことを言う人がいたなあ。
朝から「ダ・ヴィンチ」の特集のためにリストをつくって送信。取材アポ取りのための依頼状を書いてファックス、とまあ地味な一日である。

ところで、旧聞である。今までこういうことを書き込んでいる時間がなかったのだ。

関東ではあまり大きなニュースにならなかったのかもしれないが、大阪・天保山の「サントリーミュージアム」が来年いっぱいで休館するらしい。ちょうど、「スタジオジブリのレイアウト展」をやっていて盛況だと聞いたばかりなのでいささか驚いたのである。ファインアートよりは商業アート寄りのユニークな美術館で、いかにも商都・大阪にふさわしいと思っていたのだが、入場者が目標に達せずに赤字が累積していたらしい。休館とは言っているが、ミュージアムとしては閉鎖ということだろう。建物はサントリー保有して新しい利用方法を見つける、と言うけど、難しいだろう。
前々からあちこちで書いたとおり、バブル景気からこっち、無茶な需要予想が多すぎるのだ。どかんと大規模な計画を立てておいて「黒字にするにはいくら」という計算式から需要を予測したらはずれるに決まっている。バブル時代になんとかなったのは、バブルだったからである。ちゃんとした需要予測を立てて、施設もランニングコストも需要に見合ったものをつくらないから、こうなってしまうのだ、と思う。それにしても、こっちでやっている展覧会やお芝居を大阪に持っていくのがますます難しくなるのが困るなぁ。お芝居やミュージカルでも「関西はとばして、ツアーは名古屋と博多で」なんてのが結構あるのだ。<文化の空洞化>は、大阪を離れる前から言われてきたことだが、みんな「まさかね」と内心では思っていたはずだ。それが、どうやら現実のものになろうとしている。
ここから先は、無茶をせずに、地道に文化的な基盤を再生するしかないのだと思う。いっぱい良いものはあるし、市民ベースでは身にあったサイズでいろいろがんばって続けているのだ。役所もそっちに目を向けるべきなのだ。御堂筋をライトアップするのも良いが、頭と金を使うべきところは、街角にこそある。