別役実の「らくだ」など

仕事場に出てゲラの戻しなど。

こんなものを手に入れた。西田静二のひかりのくにのえほん「こじき王子」である。文・小春久一郎とあるが、肝心のマーク・トゥエインの名前はどこにもない。


昼は神田小川町食堂。

電話がいくつか。某組合報の印刷をお願いしている印刷会社の営業担当者Sさんが定年で、1年契約の内勤になるのだという。もう20年近いつきあいで、最初にいらした会社が倒産して、今の会社に移られたときもそのまま引き継いでもらったのだった。そうか、定年だったのか……。イーブックの宮坂くんからも明後日の取材の件で電話。「ダ・ヴィンチ」からは仕事のメール。小学館クリエイティブの川村さんからもインタビュー関係の電話。

壊れた椅子の代わりを探しに神田駅西口の中古オフィス家具屋まで。いろいろ試したが、普通のOAチェアが疲れなくてよさそう。肘はいらないし、革である必要もない。実際に今使っているのだが、背筋が伸びてなかなかよろしい。

6時過ぎに新宿に出かけて、紀伊国屋サザンシアターで別役実の「らくだ」を観る。「寝床」に出てきそうな大家さん。店子を集めての落語会の最中に、家も家作も乗っ取られてしまう。彼は入り婿で、先代と妻の間のどら息子が博打の借金の形に、証文を奪われたのだ。うーん、このあたりは近松だね。因業な新しい大家に店子もろともに追い出された彼は、くず屋になる。ここから、現実が落語の世界に越境し始めて……。ある意味では今の世相への風刺を込めながら、人間のレーゾンデートルとは何かを問いかけた舞台。大滝秀治の大家さん=くずやが秀逸。