便利になると不便になる

taihouji212010-01-12

寒い寒いと思ったら、仕事場に近い大手町でも昼過ぎに雪が降ったらしい。冷えるわけだ。
雪で思い出すのは、こっちに出てきた翌年の1月のたぶん今頃。1998年になるのかな。当時、産経新聞大阪本社版夕刊で連載していた「関西フォークの20年 きのうの想い出」の取材のため、吉祥寺の伊勢屋の2階で高田渡さんに2時間くらいインタビューをして、「写真は外で撮りましょう」ということで表に出ると、雪がちらついていたのだった。「いつも自転車で散歩している井の頭公園がいいな」という渡さんの提案で、公園の方に向かうと、雪は本降りになって、撮影中は背景が一面に真っ白になっていた。今、その頃の写真を見るとボアで縁取ったフード付きコートを着た渡さんが、C.W.ニコルのように見える。で、渡さんと別れしなに、ダンさんの話が出て「ああ、僕は息子さんに世話になったから、悪いけど挨拶してきてよ」と言われて、阿佐ヶ谷で途中下車してダンさんの家に立ち寄ったころは、そろそろやばい降り方だった。庭に面したダンさんの書斎で話し込んでいたら、コミック・ボックスの連中と番組制作会社の若いディレクターがやってきて、そのままわいわいやって、さて帰ろうとすると雪はもうかなり積もっている。上がりがまちに脱いだ靴の中にも雪が入っていた。阿佐ヶ谷の駅にたどり着いてもJRは運転していなくて、雪の中を地下鉄丸ノ内線南阿佐ヶ谷まで歩いたのだった。雪に足を取られながら一緒に歩いたディレクター氏は、実は大阪芸大出身でコラムニストの吉村智樹くんとも親しいというので、あとで新宿三丁目にあったころのロフトプラスワンの吉村くんのトークイベントにも誘ったのだが、その日も雪だった。雪男(?)ってのがいるもんだな、とそのときは思った。もう10年以上も昔。まだダンさんも渡さんも元気だったころの話だ。
今日の午前中は「コミック・ダ・ヴィンチ」の原稿を仕上げて、昼は「磯はな」。午後は決算関係の作業をはじめて、去年の源泉徴収分の払い込みのために税務署まで。納付してから領収書が出るまで、延々と待たされて、結局30分。なんでも領収書用のプリンターが故障していたらしい。昔は受領印を「ぽん」と押して終わったもんだが、便利になると不便になるということだな。