「通し狂言 旭輝黄金鯱」

taihouji212010-01-13

午前中、ゲラの確認などをすませて、11時半に仕事場を出て半蔵門。隼町の国立劇場で新春歌舞伎「通し狂言 旭輝黄金鯱」。お正月の国立の菊五郎劇団は毎年楽しみなのである。珍しい狂言を復活させて、現代風にアレンジしたお芝居が多いこと。音羽屋さんらしいサービス精神いっぱいで、お正月らしい華やかで見せ場の多いお芝居であること、がなにより。
今年は並木五瓶・作で大正からこっち上演機会がなかった「けいせい黄金鯱」に大胆なアレンジを加えた「旭輝黄金鯱」。「鯱」が寅年にちなんだものであることは言うまでもない。宙乗りあり、本水ありという大スペクタクル歌舞伎である。
時は室町時代尾張の小田家では家老の山形道関がお家横領を狙って悪巧みを巡らしている。道関には亀蔵。うまくなったなあ。昔は大柄でセリフが一本調子なのが気になってしょうがなかったが、本当にいい悪役になったと思う。道関は、盗賊の柿木金助を味方につけて、城主・小田春長の弟・春勝と契りを結んだ足利の姫君・国姫を誘拐しようと企てる。ところが、金助は小田、足利を仇と狙っていたのだ。金助はもちろん音羽屋さん。春長が実は、生まれたときに道関がすり替えた道関自身の息子であることがわかったり、金助のライバルの盗賊・向坂陣内こそがそのすり替えられた本当の春長とわかったり、と実におもしろい展開。元の春長のち鳴海春吉に菊之助。陣内・実は春長に松緑。勅旨と偽って尾張城に入り込んだ金助が、凧に乗って金の鯱と、小田の宝・甲賀の巻物を手に入れる場面が前半のハイライト。宙乗りをたっぷり見せてくれる。大詰めで毎年見せてくれるサービスタイムは、千手観音とエグザイル……。そして、クライマックスは菊ちゃんの本水での立ち回り。いやあー、歌舞伎ってホントに良いですねえ。
戻って、またゲラを見て、イーブックの原稿は明日。6時半から、さいとう・プロダクションの新年会。今年も福引は当たらなかった。残念! 永井豪先生とは12回目の初対面。